
問題の本質:大京アステージは、防火管理者の改選や消防計画の届出という法令上の重要な義務を長期間放置し、住民の安全と管理組合の信頼を著しく損ねた。
3行でわかる要旨
1️⃣ 大京アステージは防火管理者の改選や消防計画届出を約20年間放置していた。
2️⃣ この放置は法令違反の疑いがあり、住民の安全を軽視する重大な管理不備。
3️⃣ 管理会社としての責任感や説明責任が問われ、信頼回復には是正対応が不可欠。
問題の構図
- 大京アステージは、約20年間にわたり防火管理者の改選および消防計画書の届出を放置。
- 本来は定期的に行うべき防火管理体制の見直しがなされず、住民の安全管理が著しく軽視された状態。
- 住民側が是正を求めたことで発覚したが、会社側は体制や業務フローの見直しを行わず、責任回避的な態度をとり続けている。
証拠資料一覧
- 管理組合の内部記録(過去20年分の防火管理者届出状況)。
- 消防署提出記録および受理書類の不在証明。
- 管理会社と組合間のやり取り記録(是正要求書・再通知書)。
- 大京アステージからの回答文書(是正未対応を示す)。
管理会社の回答要旨
- 「防火管理者改選および消防計画届出について未対応であったことは認める」
- 「当時の担当者の確認不足が原因であり、管理職による管理体制の見直しが必要」
- 「今後は社員教育を徹底し、再発防止に努めるが、当面の具体的な是正スケジュールについては言及なし」
概要
問題の本質
ライオンズマンション稲沢では、防火管理者に関する業務を管理会社である大京アステージに実質的に委託していたにもかかわらず、長年にわたり「正式な防火管理者の選任」「消防計画の更新」「届け出」などの重要な義務が放置されていた実態が明らかになった。
■ 判明した主な事実
- 防火管理者が20年前に転居していたにもかかわらず、名義変更されず放置
- 消防計画書の内容が現況に即しておらず、更新もされていなかった
- 管理会社側は、防火管理に関する義務の履行状況を管理組合に報告せず、形式上の処理で済ませていた
- 実態上の責任主体が不明瞭であり、火災などの有事発生時に住民側が責任を問われるリスクが高まっていた
■ 問題点
項目 | 内容 |
---|---|
安全管理責任 | 防火管理体制が機能していないことで住民の安全に直結する問題 |
情報不開示 | 管理会社が現状を長年報告・是正せず、住民に情報が共有されなかった |
委託業務の実態 | 「委託したつもり」で実質何も履行されていない状態が続いていた |
■ 法的論点(一般論)
- 防火管理者選任・届出義務違反(消防法第8条)
- マンション管理業者としての善管注意義務違反(民法第644条)
- 委託契約不履行による損害賠償請求の可能性(民法第415条)
- 万一の火災発生時には、管理組合や理事長にまで管理過失責任が波及する恐れもある
■ 今後の対応の方向性(管理組合側)
- 防火管理者の選任・消防署への正式な届出手続きの是正:大京アステージに受託いただいております防火管理業務に関する稲沢市役所消防本部(稲沢市消防長)に届出をする消防計画書及び防火・防災管理者などが約20年前に転居された方のまま放置されており、定期的に届出する防火・防災責任者の届出名と齟齬がありましたので、2025年5月8日に以下の変更届出書を提出しました。
- 1 ライオンズマンション稲沢消防計画
- 2 防火防災管理者選任(解任)届出書
- 3 消防計画作成(変更)届出書
- 消防計画の全面見直しと住民への周知・訓練実施
- 管理会社との再契約・契約見直し(業務範囲と責任範囲の明確化)
- 必要に応じた行政(消防署・市)への報告・相談・是正勧告の依頼
通知書送付:2025年5月15日 消防計画書および防火・防災管理者に関する事態報告書提出通知書(通知)
再通知書送付:2025年5月17日 21:36
No.17防火管理業務委託の件に関しましては、未回答につきご回答をお願いします。
大京アステージの回答(2025年5月23日):防火管理者改選および消防計画の届出が未対応だった。
証拠:回答書より抜粋

回答への見解:防火管理者不在・消防計画未届出は「行政指導・刑事責任」が問われかねない重大な法令違反行為
1. 【防火管理者・消防計画は建物の法定義務であり「未対応」は明確な違法状態】
防火管理者の選任および消防計画の作成・届出は、消防法第8条・第8条の2等に基づく法定義務であり、集合住宅(一定規模以上の共同住宅)では、
- 防火管理者の選任届出(変更届出含む)
- 消防計画の作成・保管・実施
が義務付けられています。
したがって、「未対応」であったということは、
- 違法状態を長期間放置していた
- 緊急時における初動対応体制が不在であった
という極めて重大な住民の生命・身体・財産に対するリスク放置行為であり、管理会社としての義務放棄に等しいと評価されます。
2. 【管理会社の誠実義務および善管注意義務違反】
大京アステージは、管理委託契約の範囲内で「防火・防災に関する法令手続支援」や「建物管理全般の助言・事務補助」を行うことが前提です。
その上で以下の不作為が生じていた場合:
- 防火管理者が20年前に転居済の者のまま未更新
- 消防計画の届出が更新されず、避難訓練・初期消火体制などの訓練・体制も形骸化
であったなら、これは明白な善管注意義務違反(民法第644条)および契約上の債務不履行(民法第415条)にあたります。
3. 【想定される法的・行政的責任(一般論)】
分類 | 責任内容 |
---|---|
消防法違反 | 防火管理者未選任(第8条違反)、届出義務違反:30万円以下の罰金または行政指導対象 |
民事責任 | 善管注意義務違反による損害発生時の賠償責任(民法644条・709条) |
契約責任 | 管理委託契約に基づく履行義務違反(民法第415条) |
社会的責任 | 火災等発生時における損害拡大の原因となり得る怠慢行為として報道・告発の対象となり得る |
4. 【住民の生命・財産を預かる管理業務にあるまじき重大な組織的過失】
本件は単なる手続ミスではなく、
- 火災や震災等の有事発生時に、適切な避難誘導・消火活動が行えなかった可能性
- 数十年にわたり「防火責任者不在の集合住宅」であったこと
を意味します。
これは管理組合に対する裏切り行為であると同時に、大京アステージの管理業務全体の信頼性に直結する構造的問題です。
管理組合の対応方針
- 防火管理者の法的選任と届出状況の再調査
- 当該不備の経緯説明・責任所在・是正措置を正式に要求(通知書)
- 場合により消防署(管轄消防機関)への状況報告と改善誓約の提出
結論
「未対応だった」と軽く済ませる問題ではなく、大京アステージは火災等における初動体制を組織的に欠落させたという極めて重大な信頼失墜行為・法令違反行為にあたります。
管理会社としての信頼を根本から問われる事案であり、住民に対する正式な謝罪・原因開示・再発防止措置の提示が必要不可欠です。
大京アステージに発生し得る法的責任(一般論)
1. 消防法違反(行政法上の責任)
- 防火管理者の未選任・無届出状態が長期間放置されていた場合、
消防法第8条に基づく選任義務違反に該当する可能性があります。 - 管理会社がその事実を把握しながら、管理組合に報告せず是正しなかった場合、
消防署からの指導・勧告・命令・立入検査等の行政処分の対象となるおそれがあります。
2. 民法上の責任
■ 善管注意義務違反(民法第644条)
- 管理会社は、管理委託契約に基づき「善良な管理者としての注意義務」を負っています。
防火・防災管理という住民の生命・財産に直結する基本的義務を怠ったことは、明らかにこの義務に違反しています。
■ 債務不履行責任(民法第415条)
- 管理委託契約において「防火管理者の補助業務」や「届出書類の作成・提出」を受託していた場合、
それを履行しなかった行為は契約違反として損害賠償の対象になります。
■ 不法行為責任(民法第709条)
- 万一、火災等が発生し、人的・物的損害が発生した場合、
「防火管理体制の未整備」または「過失による放置」が原因とされれば、**損害賠償責任(不法行為)**が問われます。
3. 刑事責任の可能性(※事故発生時)
- 業務上過失致死傷罪(刑法第211条):
火災や人的被害が発生した場合、形式的には管理組合が責任主体ですが、
実質的な管理実務を担っていた管理会社・社員に対して刑事責任が問われる可能性があります。
4. マンション管理業法上の責任(行政処分等)
- 管理会社としての業務の適正性を欠いた場合、
マンション管理業者としての登録取消や業務停止命令(国土交通省または都道府県)を受ける可能性があります。
補足:本件の構造的問題性
- 名義上の防火管理者が20年以上前に転居していた事実を、管理会社が把握しながら是正していなかった場合、
それは単なる過失ではなく、組織的な放置・隠蔽・無責任体制の表れと評価されかねません。
まとめ表(責任区分と法的根拠)
区分 | 法的責任の種類 | 根拠法令 |
---|---|---|
行政責任 | 消防法違反(是正命令等) | 消防法 第8条、第36条等 |
民事責任 | 善管注意義務違反 | 民法 第644条 |
民事責任 | 債務不履行責任(委託契約違反) | 民法 第415条 |
民事責任 | 不法行為責任 | 民法 第709条 |
刑事責任 | 業務上過失致死傷罪(事故時) | 刑法 第211条 |
業法上責任 | 登録取消・業務停止処分など | マンション管理適正化法 第72条 など |
防火管理業務放置問題に関する法的対応資料一式
私の見解
✅ 概要
大京アステージが約20年間にわたり防火管理者の改選および消防計画書の届出を怠ってきた実態を詳細に説明。これは本来、定期的に行われるべき重要な法的義務であり、放置されていたことは重大な安全管理の不備です。住民側が是正を求めたことで問題が表面化し、管理会社側の体制のずさんさや責任意識の欠如が浮き彫りになっています。
✅ 感想
この問題は単なる事務的なミスではなく、住民の安全に直結する重大な法令違反の疑いを含んでいます。管理会社が担当者任せで組織的な監視体制を怠り、さらに発覚後も実質的な改善や真摯な謝罪を行っていない姿勢が伝わってきます。住民側が問題提起しなければ是正されなかったという点は、管理委託契約の信頼性を根本から揺るがすものだと感じます。
今後の提言
✅ 管理会社は、全管理物件の防火管理体制を緊急点検し、法令遵守状況を精査・報告すること。
✅ 管理組合は、定期的に第三者チェックや外部監査を導入し、管理業務の透明性を確保すること。
✅ 行政・監督官庁は、マンション管理会社への指導・監査体制を強化し、再発防止策を徹底させること。
✅ 全国の管理組合は、他人事と思わず自組合の現状を確認し、リスクの顕在化を防ぐ意識を持つこと。