No.14 大規模修繕工事施工の外壁タイル剥がれの件

問題の本質:大京アステージは、第2回大規模修繕工事によって発生したタイル破損について、当初は「工事対象外」と虚偽の説明を行い、適切な是正措置や責任の所在を明示しないまま、管理会社としての監理責任および住民への説明責任を放棄しました。しかし、その後、証拠の提示を受けて施工ミスであったことを認めました。

3行でわかる要旨

第2回大規模修繕工事後、共用部タイルに破損が見つかったにもかかわらず、大京アステージは当初「工事対象外」と主張。

住民からの指摘と証拠提出により、最終的に施工ミスの可能性を認めるに至った。

管理会社としての監理責任と説明責任の不履行が問われる深刻な対応事例。

問題の構図

  1. 発端:第2回大規模修繕工事後のタイル破損
    • 工事完了後、共用部の床タイルに明らかなひび割れ・剥離が多数発見される。
  2. 大京アステージの初期対応
    • 「工事対象外」と説明し、施工ミスの可能性を否定。
    • 是正工事や補修の責任についても回避の姿勢。
  3. 住民側の対応
    • 写真記録や工事前後の比較資料を提示し、施工ミスの可能性を指摘。
  4. 事実認定と再回答
    • 大京アステージが最終的に「第2回大規模修繕工事で実施した箇所のタイル破損」と認識。
  5. 未だ不明確な点
    • 責任所在の明示や補修に関する具体的な対応計画はなし。
    • 管理会社としての説明責任や誠意ある対応姿勢の欠如。

証拠資料一覧

  • 大規模修繕工事前後の住民説明会資料(タイル破損例に破損箇所写真使用)
  • 管理組合からの通知書および申入書
  • 大京アステージからの担当者レベル、その後会社としての当初回答および再回答文書

管理会社の回答要旨(最終回答)

「第2回大規模修繕工事で実施した場所のタイル破損との認識を示した。」

  • 施工範囲内での破損であることを認めたものの、明確な謝罪や補修実施の約束なし。
  • 当初は「工事対象外」と説明していた点との齟齬は未説明。
  • 説明責任および施工管理責任の所在についても明確な言及なし。

概要:大京アステージによる大規模修繕工事施工ミス隠蔽工作について

問題の経緯

  • 共用部のタイル外壁が剥がれる危険状態について、住民から度重なる報告があったにもかかわらず、管理会社である大京アステージが補修等の初期対応を行わなかった
  • 管理会社大京アステージ及び大規模修善工事契約締結先の大京穴吹建設は当初は大規模修繕工事の対象外とのことで、保証の対象ではないと回答。
  • 現地確認の遅延、調査会社の手配遅れ、危険表示措置の不備などが重なり、長期間にわたり放置された状態が継続。

■ 主な問題点

分類内容
安全配慮義務の欠如剥落による落下事故のリスクがあるにもかかわらず、立入禁止表示や応急処置が講じられなかった。
報告遅延・対応放置居住者や理事会からの通報にもかかわらず、現場調査の実施・補修判断までに数週間以上の遅れ
説明責任の不履行管理会社から正式な報告・見解提示がなく、管理組合側に不信感が蓄積。
管理委託契約上の義務違反事故予防措置や経年劣化の管理・監視に関する基本的業務を怠った可能性。

■ 法的論点(一般論)

  • 善管注意義務違反(民法第644条)
    → 危険の兆候を放置した場合、管理会社には事故防止の未遂義務違反が問われる可能性あり。
  • 不法行為責任(民法第709条)
    → タイル落下による人的・物的損害が発生した場合、損害賠償請求対象となる。
  • 契約不履行責任(民法第415条)
    → 管理委託契約に定められた共用部の点検・報告・対応義務の不履行。

■ 管理組合としての対応

  • 現場写真・報告履歴・理事会記録の保存と精査
  • 管理会社への文書説明請求と是正要求
  • 外部専門家(建築士・弁護士)による第三者調査依頼
  • 必要に応じた契約見直し・損害賠償請求・行政通報

第2回大規模修繕工事 アフター2年点検報告書に本件の是正記載はなし

問題点1:2025年3月24日の第2回大規模修繕工事アフター2年点検報告書(目視確認)においてタイル剥がれの損傷の是正などの記載はない。つまり2025年3月24日から大京アステージへ本件を理事会から連絡した2025年4月17日までの約3週間でタイルが破損したとは考えづらく、本件タイル剥がれの損傷を大京アステージは事前に認識していたが隠していた可能性がある。

下図の大京穴吹建設による第2回大規模修繕工事施工前の工事説明会資料に本件のタイル破損部の写真(赤枠)が「ダイルのばく裂の例」として掲載されていた。

問題点2:第2回大規模修繕工事施工前の工事説明会資料に「タイルの爆裂」例として記載し、修繕工事を実施していたにも関わらず、第2回大規模修繕工事での施工箇所ではなく、補償の対象外と虚偽説明を行い隠蔽を図っている点。

大京アステージの回答:2年前の大規模修繕工事では施工しておらず、大規模修繕工事の補償対象外との回答

証拠:大京アステージ担当者からのメール回答

大京アステージの虚偽回答(2025年5月15日)

証拠:2025年5月15日大京アステージ回答書より抜粋

通知書送付:2025年5月15日タイル剥がれ事故に関する是正対応および調査報告書提出のお願い(通知)

再通知書送付:2025年5月17日 21:36

No.14の交渉履歴に記載の通り、第2回大規模修繕工事説明会において、御社が配布した資料には「タイルの爆裂」の例が具体的に記載されており、その説明をもとに住民は当該修繕工事が必要かつ正当なものであると理解し、承認判断を行いました。にもかかわらず、実際にタイルの爆裂が発生した箇所について、第2回修繕工事の施工対象ではなかったため補償対象外であるとする説明は、極めて不合理であり、住民を誤認させる虚偽説明であった疑いが濃厚です。特に問題視せざるを得ないのは、交渉における再三の指摘に対しても、御社が説明内容の誤りや不整合性を正面から認めず、補償の対象外という結論を変えずに隠蔽的な姿勢を取り続けている点です。こうした行為は、単なる施工上の瑕疵問題にとどまらず、管理会社としての説明責任違反、修繕積立金の不適切使用、区分所有者の判断を意図的に誤らせた可能性、など、企業倫理・法的責任の双方に関わる重大な問題です。よって、以下の点について速やかな文書再回答を求めます。1 第2回大規模修繕工事における「タイル爆裂」の説明と実際の施工範囲の整合性。2 爆裂箇所が当初から施工対象外であったにもかかわらず、なぜ例示に使用されたのか。3 補償対象から除外する理由の合理性と判断の責任主体。4 上記一連の誤説明に対する社内調査および再発防止策の有無。なお、区分所有者に誤った期待を抱かせる資料配布と説明を行い、実際に補償を受けられない結果を招いた場合、民法上の債務不履行または不法行為責任を問われる可能性があることを、貴社経営陣としても認識されるべきと考えます。

2025年5月18日理事会にて説明

大京アステージと大京穴吹建設による第2回大規模修繕工事施工前の工事説明会資料に掲載されていた「ダイルのばく裂の例」として写真は、今回破損しているタイル。従って第2回大規模修繕工事で施工しているとの説明を行った。

大京アステージの再回答(2025年5月23日):第2回大規模修繕工事で実施した場所のタイル破損との認識を示した。

大京アステージの回答書より抜粋

再回答への見解:原因特定を回避し、保証責任や施工瑕疵への対応を意図的に曖昧化した姿勢

1. 【「破損箇所の認識」だけではなく、原因と責任所在を示すべき】

「第2回大規模修繕工事で実施した場所である」というだけの回答は、事実関係を述べただけに過ぎず、破損の原因が施工不良であるかどうかの認定を回避した内容です。

本来であれば、以下のような具体的事項が求められます:

  • 当該破損箇所が施工対象エリアに含まれていたかの工事範囲証明
  • 修繕後何年で破損が発生したかという経年状況と保証期限の照合
  • タイル接着・施工の仕様や手抜き工事の可能性の調査結果
  • 保証条項に基づく補修義務の有無

これらに一切言及せず、「場所的にはその工事の範囲だった」という認識のみを示すのは、
責任の明確化を意図的に避けていると見なされてもやむを得ません。


2. 【大規模修繕工事における瑕疵担保責任の可能性】

大規模修繕工事において、施工業者(または監理会社、管理会社)がタイル工事を担当した場合、
次のような責任が法的に発生します:

区分内容
瑕疵担保責任民法第562条以下:瑕疵の補修または損害賠償請求可能(期間制限あり)
善管注意義務違反管理会社が施工監理または報告義務を怠った場合(民法第644条)
委託契約違反修繕内容の報告義務・履行確認を怠った場合(民法第415条)

したがって、もしタイル破損が施工不良や接着剤の不備等によるものであり、工事後数年以内であれば、明確な保証対応または損害賠償の対象となります。

それにもかかわらず「場所の認識」にとどめる回答は、組合が瑕疵責任を追及しないことを期待した形式的回答に近いと言えます。


3. 【住民説明・是正義務の回避は企業倫理として問題】

タイル破損は、安全性に関わる問題であり、落下すれば第三者被害も想定される重大事故の原因となり得ます。
こうした問題に対し、管理会社が曖昧な回答で済ませ、住民説明や施工会社との調整・責任追及を行わないことは、企業としての誠実義務・安全配慮義務の放棄に近い態度です。


管理組合の今後の対応

  1. 破損箇所の原因調査報告書の提出を要求(施工図・現場写真・保証内容)
  2. 大規模修繕工事の契約書・仕様書の再確認と、保証範囲の確認
  3. タイル施工業者の対応履歴を含め、保証履行義務の有無を明示するよう要請
  4. 専門家(建築士・弁護士)による外部調査または瑕疵鑑定の実施
  5. 必要に応じ、修繕責任を明確にしたうえで、再施工・損害賠償を請求

結論

本件における大京アステージの回答は、「工事対象箇所である」と認めつつ、
施工不良の可能性や保証責任には一切触れないという、極めて曖昧で形式的な内容にとどまっています。

このような対応は、管理組合や区分所有者に対する説明責任を欠くとともに、建物維持管理の実務上・法的に問題があると言わざるを得ません。

管理組合としては、明確な原因究明・責任所在の追及・再発防止措置の提示を求めるます。

大京アステージに発生し得る法的責任(一般論)

1. 民法上の責任

■ 善管注意義務違反(民法第644条:準委任)

管理会社は管理委託契約に基づき、共用部分の安全維持や異常対応において、善良な管理者としての注意義務(善管注意義務)を負います。
タイル剥がれという明白な危険が報告されていたにもかかわらず、

  • 応急措置(立入禁止、ネット設置等)を講じなかった
  • 点検・修繕の判断を先延ばしにした
  • 管理組合への報告や議論を怠った

といった行為は、この義務に違反する可能性が極めて高いです。

結果的に事故が未発生であっても、未然防止義務の不履行自体が責任を問われる根拠となります。


■ 債務不履行責任(民法第415条)

「管理委託契約」によって委託されている点検・報告・維持保全業務を怠り、契約上の義務を果たさなかった場合には、
損害の有無にかかわらず**契約不履行責任(違約責任)**が発生します。

特に本件では、タイル剥がれによって通行人等に損害が発生した場合、組合が管理会社に対し損害賠償請求を行う根拠となり得ます。


■ 不法行為責任(民法第709条)

仮にタイルが落下し、通行人や所有者に人的・物的損害が生じた場合
大京アステージはその危険を把握しながら対策を講じなかったことにより、不作為による不法行為責任を問われる可能性があります。

被害者が第三者である場合でも、善管注意義務の延長上で責任を問われるケースがあります。


2. 刑事責任の可能性(※事故発生時)

  • 業務上過失致傷罪/過失致死罪(刑法第211条)
     → 危険個所を知りつつ放置し、事故が発生した場合、管理会社の現場責任者・法人としての刑事責任が問われる可能性あり。

3. 行政上の責任

  • マンション管理適正化法に基づく業務停止命令や登録取消の対象となり得ます(重大な業務懈怠が継続した場合)。
  • 自治体(市町村や消防署、建築指導課)から是正指導・警告・勧告が出される場合もあります。

管理組合側の備えるべき対応

  1. 危険箇所の写真・住民報告・理事会議事録などの証拠化
  2. 管理会社への書面での説明要求と責任確認
  3. 外部専門家(建築士・弁護士)による第三者監査の依頼
  4. 必要に応じて、損害賠償請求・契約解除・行政相談・刑事告発を検討

大規模修繕工事施工の外壁タイル剥がれの件に関する法的対応資料一式

私の見解

概要

ライオンズマンション稲沢の第2回大規模修繕工事後に発生した共用部タイルの破損問題について。
当初、管理会社の大京アステージは「工事対象外」と説明して責任を否定していましたが、住民側が証拠資料を提出したことで、最終的に施工ミスの可能性を認めるに至りました。
しかし、具体的な責任所在の明示や補修対応の実施については、十分な説明や誠意ある対応が見られないという問題が続いています。


感想

✅ 管理会社の初動対応が形式的・責任回避的であり、住民の立場から見て信頼を損なう内容だったことが印象的です。
✅ 住民側がしっかりと証拠を残し、議事録や資料を整備して指摘したことで事実を認めさせた経緯は、他のマンション管理組合にも参考になるケースです。
✅ しかし、施工ミス認定後も、管理会社からの補修対応や謝罪、補償といった誠実な姿勢が見られないのは、残念で不安を感じさせる部分です。

全国のマンション管理組合の皆様への注意喚起

プレスリリース

報道提供用資料

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