★No.8 各種修繕改修工事と管理費等の値上げについて

問題の本質

大京アステージは、大規模修繕工事を含めて各種修繕改修工事の請負契約において、住民に対する十分な説明や透明性の確保を怠ったまま、自社グループ企業への発注と中間マージン構造を組み込み、管理組合の意思決定を歪める不透明な契約スキームを構築したことが問題の本質です。

要旨

大京アステージは、大規模修繕工事費などの各種修繕改修工事の契約に不透明な中間マージン(約20%)を上乗せした疑義がある。

組合は工事内容・契約構造を十分に把握しないまま、管理会社の誘導によってそのまま支払いを実施した。

これは組合の財産管理に関する重大な信頼侵害であり、全国的なマンション管理問題の一端である。

問題の構図

不透明な修繕工事契約と中間マージンの構造

  • 管理会社である大京アステージが、大規模修繕工事など各種修繕改修工事に際して協力会社を「元請け」、実施工業者を「下請け」とする形で工事契約を構成。
  • 実施工業者の見積額に約20%の中間マージンを上乗せし、元請け協力会社から管理組合に請求。
  • 組合側は元請けとの契約構造を正確に把握しないまま、当該金額をそのまま支払った。
  • これは、住民の修繕積立金が不透明な方法で中間マージンに充てられていたことを意味し、契約の公正性と透明性が強く疑問視される。

証拠資料一覧

  1. 協力会社による組合向け見積書(中間マージンが含まれた最終金額)
  2. 支払いに関する組合側の承認決議書類(大京アステージ作成)
  3. 工事契約書の写し(元請け:協力会社、下請け:実施工業者の関係が不明確)
  4. 面談記録・通知書(マージンに関する管理会社側の説明経緯)

管理会社の回答要旨

  • 協力会社を元請けとし、見積金額に上乗せがあることは否定せず
  • 「工事契約の調整や補助は、管理会社の業務範囲であり、元請け協力会社との契約は組合の承認を得たもの」と主張
  • 中間マージンに関しては「協力会社の判断に基づく価格設定であり、管理会社としての責任ではない」と説明
  • 全体として責任回避的な姿勢が見受けられ、住民の納得を得るに足る説明がなされていない

概要:修繕改修工事費と管理費に関する不透明なコスト構造の告発

【主な主張】

  • ライオンズマンション稲沢において、過去に実施された修繕改修工事において、
    管理会社である大京アステージに発注した複数の工事に対し、不透明なコストの上乗せが疑われる。
  • 特に、協力会社経由で実際の工事会社へ外注されていたにもかかわらず、元請け費用として高額請求がされていた事例が報告されている。
  • また、工事の発注や請求プロセスにおいて、理事会や管理組合に明確な説明や根拠資料の提示がなかったことから、管理費から支出されたコストの妥当性・正当性に対して重大な疑義が生じている。

【具体的な問題点】

  1. 工事費に対する20%以上の上乗せが中間業者によって行われていた疑い。
  2. 実際の施工業者が管理会社指定の「協力会社」ではなく、元々管理組合が選定した外注業者であった。
  3. 請求書や見積書の二重構造(施工業者と協力会社で金額が異なる)が確認された。
  4. 発注責任者や見積経緯について、管理会社側からの説明・文書回答がない

【提起している問題】

  • 「協力会社」と称する管理会社側の利害関係者を介在させることで、本来不要な中間マージンを徴収していた可能性
  • 発注の実態が不透明で、管理費の不適正使用や住民の合意なき支出が生じていた構造的問題。
  • 管理会社による情報開示拒否・帳簿説明の拒否が続いていることから、説明責任の放棄と善管注意義務違反が疑われる。

【関係法令と責任の可能性(一般論)】

法的観点関連法令・責任概要
善管注意義務民法第644条管理費支出に対する説明義務を怠る行為
不法行為責任民法第709条実質的な損害発生への責任追及が可能
背任罪の疑い刑法第247条中間搾取を伴う管理行為の場合、刑事責任も検討対象

【管理組合側の対応方針】

  • 管理会社に対する正式な書面通知と回答要求
  • 工事請求書および帳簿の精査・開示要求
  • 必要に応じて、住民説明会・臨時総会の開催や法的措置の検討

情報格差と利益相反

管理会社はマンションの専門知識や情報を持っている一方、区分所有者は必ずしもそうではありません。この情報格差を利用し、管理会社が自社の利益誘導に繋がりやすい工事契約を提案する可能性があります。 管理会社は工事会社と提携している場合もあり、そこから紹介手数料を得るなど、利益相反のリスクも存在します。

この情報格差を利用し、大京アステージが自社の利益誘導に繋がりやすい工事契約を提案して参りました。 大京アステージは工事会社を自社協力会社として提携させており、そこから紹介手数料やマージンなどを得るなど、利益相反している実態があります。

区分所有者の意思反映の阻害

総会直前の理事会での決定は、区分所有者が十分な検討を行う時間がないまま総会に臨むことになり、結果として区分所有者の意思が適切に反映されない可能性があります。

決算月理事会及び総会前理事会での各種工事契約の締結の総会への上程は、区分所有者が十分な検討を行う時間がないまま総会に臨むことになり、結果として区分所有者の意思が適切に反映されてきませんでした。

この件は、全国のマンション管理組合においても発生し得る問題であり、
修繕工事における透明性・コスト妥当性の確保は、住民の資産保全と信頼の根幹をなす重要な課題といえます。

大京アステージ社長へ提出した本件ご説明書

大京アステージの回答

第2回面談で事態報告書の提出を依頼:2025年3月18日 14:00〜16:00 喫茶屋らんぷ下津店

第3回面談での回答:2025年4月18日 14:00〜16:45 喫茶屋らんぷ下津店

最終回答(2025年5月15日):

2025年5月15日大京アステージ回答書より抜粋

第31期理事長の回答書:本議案の議決に瑕疵はない。

証拠:第31期理事長の代理人弁護士による内容証明の抜粋

再通知書送付:2025年5月17日 21:36

No.8に関しましては、No.3同様、貴社が工事提案を行う際に、情報格差を利用し、専門的判断が困難な理事会に対して、十分な技術的・費用的説明を欠いたまま進行させたことにより、理事会の意思形成が実質的に歪められたものと強く認識しております。特に、決算月理事会や総会直前の理事会に自社提案工事を集中させる手法は、区分所有者の十分な検討時間を奪い、実質的には総会承認という形式に依存しながらも、区分所有者の意思反映を形骸化させる手法であると判断せざるを得ません。こうした行為は、単なる契約上の瑕疵ではなく、貴社の業務運営体質そのものに深刻な問題があることを示すものであり、全国で同様の手法が取られていないか検証されるべきものと考えます。以上の事実を理解した上で、なお「総会決議による承認を得ているため問題ない」とされる貴社の姿勢は、今後、マンション管理の民主性や倫理性を巡る社会全体の議論の論点になるものと認識しております。よって、以下について貴社の誠実な回答を求めます:1 工事提案を理事会に上程する際の情報開示・技術的説明の標準プロセスと運用実態。2 決算月・総会直前の理事会に工事提案を集中させることの意図と必要性に関する見解。3 区分所有者の意思反映と透明性確保の観点から、今後の改善方針の有無。

大京アステージへ申入書を提出:2025年5月19日

大京アステージの再回答(2025年5月23日):最終的には、総会で審議、決議いただいておりますため、組合の意思決定を歪める行為はしておりません。(総会決議を盾にした企業姿勢)

再回答への見解:「総会決議を盾に責任を回避する姿勢」は誠実義務と透明性を欠く企業体質の表れ

1. 【形式的手続を免罪符とする責任逃れ】

大京アステージは、「総会で決議された以上、組合の意思に従った結果である」と主張していますが、
これは意思決定過程の正当性が確保されていた場合にのみ通用する論理です。

問題の本質は、

  • 決議の前提となる議案の説明内容・資料構成・見積の透明性に不備や恣意性があった
  • 組合員が誤認や情報不足のまま賛成させられた可能性がある

という意思形成プロセスの「ゆがみ」であり、総会決議の有無は正当性の証明にはなりません。


2. 【区分所有者の「誤認誘導」を放置した責任】

例えば、当該案件(工事費用の積算・仕様・業者選定等)において以下のような事実がある場合:

  • 実際には実施していない工事項目が費用に含まれていた
  • 提示資料において、専門性を隠して大京アステージのグループ会社に誘導した
  • 一部住民から提出された疑義・修正要請を反映しなかった

にもかかわらず、「最終的に総会で決議されたから問題ない」とする主張は、
手続の外形だけで実質を正当化する形式主義の極みであり、住民に対する誠実義務違反と言えます。


3. 【区分所有法・民法上の意思決定と不当な誘導】

区分所有法は、管理組合の自治を尊重しつつも、その意思決定が正当な説明・情報提供に基づいていることを大前提としています。

したがって、仮に形式上の決議が行われたとしても、その過程に重大な説明不足・情報隠蔽・誘導があれば、以下のような法的救済の対象になり得ます。

  • 民法第96条:詐欺・錯誤による意思表示の無効または取消
  • 区分所有法第57条:総会決議の取消訴訟
  • 民法第709条:不法行為に基づく損害賠償請求

つまり、「総会決議があったから大丈夫」という主張は、法的にも論理的にも成立しません。


想定される法的責任(一般論)

種別該当内容
説明義務違反管理会社の説明責任不履行(民法第644条:善管注意義務違反)
誘導・構造的不誠実性意図的に誤認を誘った場合、不法行為または詐欺的行為の構成要素
議決無効・取消区分所有法第57条に基づく総会決議取消の要件に該当可能
契約不履行工事契約における虚偽説明・誤表示があれば民法第415条に基づく損害賠償

管理組合としての対応方針

  1. 経緯の再検証と説明記録の保存(議案資料・議事録・見積書等)
  2. 専門家(弁護士・建築士)による第三者レビューの実施
  3. 総会決議の適法性に疑義がある場合は取消訴訟を含む検討
  4. 再通知書により、企業側からの誠実な説明および再発防止策を求める

結論

本件において、大京アステージは「最終的に総会で承認された」との形式論をもって責任を回避しようとしていますが、実質的には説明・資料提示・手続誘導の段階で重大な瑕疵や偏りがあれば、その総会決議自体の正当性が問われることになります。

この企業姿勢は、マンション管理における構造的な「ブラックボックス」問題の典型であり、今後、他の管理組合でも注意喚起と共有が必要と考えております。

大京アステージに発生し得る法的責任(一般論)

【1】民事責任

善管注意義務違反(民法第644条 準用)

管理会社は、管理委託契約のもと「善良な管理者としての注意義務(善管注意義務)」を負います。
以下のような行為は、明らかにこの義務に反します:

  • 見積もりや発注内容を住民に説明しない
  • 実際の施工業者と請求元が異なる二重構造
  • 不透明なマージン構造を放置・主導

これにより、住民が損害を被れば、損害賠償請求の根拠になります(民法第709条)。


【2】契約責任

管理委託契約違反

国土交通省が定める「マンション標準管理委託契約書」において、以下が管理会社に義務付けられています:

  • 工事発注の透明性確保
  • 費用の妥当性検証と説明義務
  • 工事履行後の報告と文書保管義務

これらを怠れば、契約違反として契約解除や損害賠償請求の正当な理由となります。


【3】行政責任

マンション管理適正化法(業務適正化指針)違反

  • 説明責任不履行や管理費の不適正な使用に対しては、国交省・地方自治体が是正命令・業務停止命令を出す可能性があります(同法第76条、第77条)。

【4】刑事責任(該当性が認定された場合)

背任罪(刑法第247条)

  • 本来の契約者(管理組合)の利益に反して、中間業者や協力会社の利益を優先させた場合、背任罪の構成要件に該当する可能性があります。

私文書偽造罪・虚偽作成罪(刑法第159条等)

  • 実際の見積書と異なる額の書類を正当なものとして扱った場合など、悪質性が認定されれば、刑事事件として立件される余地もあります。

リスク整理表(一般論)

責任分類発生行為の例関連法令/条文
民事責任不適正なコスト上乗せ、説明拒否民法第644条・第709条
契約責任管理委託契約の誠実履行義務違反標準管理委託契約書(国交省)
行政責任管理適正化法違反による指導対象マンション管理適正化法 第76〜77条
刑事責任背任・偽装請求・文書偽造の疑い刑法第247条・第159条など

補足

これらの法的責任は、管理会社の故意・重過失や説明拒否の実態が証明された場合により明確になります。
管理組合側では、以下の対応を推奨します:

  • ① 書面での正式照会および証拠保全
  • ② 第三者専門家(弁護士・監査士)による検証
  • ③ 行政(住宅課・国交省)や報道機関への情報提供
  • ④ 必要に応じて訴訟・刑事告発の検討

各種修繕改修工事と管理費等の値上げに関する法的対応資料一式

第31期理事長に発生し得る法的責任(一般論)

【1】民事責任

善管注意義務違反(民法第644条準用)

理事長は、管理組合の業務を誠実・適切に遂行すべき立場であり、以下のような行為・不作為があると民事責任が問われる可能性があります:

  • 管理会社の契約違反や不誠実な対応を是正しなかった
  • 修繕や支出について組合員に説明責任を果たさなかった
  • 会計・文書管理等を放置・黙認していた

➡ 区分所有者や新理事会から損害賠償請求を受ける可能性があります。


【2】契約管理上の責任

管理委託契約の監督責任

管理委託契約(管理会社との契約)に基づき、理事長には契約履行状況の監督義務があります。

  • 発注工事の内容・金額の妥当性をチェックせず契約した
  • 中間マージン構造の不透明性を黙認
  • 見積もりや請求書の妥当性を検証しなかった

「契約管理の怠慢」と見なされ、理事長の職務懈怠責任が問われることがあります。


【3】会計責任

  • 管理費や修繕積立金の支出において、議決や理事会承認を経ていなかった場合
  • 見積もりや契約書の保存・開示を怠った場合
  • 会計資料や議事録等の不備・紛失・未返却がある場合

総会や住民説明会で説明責任を追及され、不適正会計の管理責任を問われる場合があります。


【4】刑事責任(悪質な共謀があった場合)

以下のような行為があった場合、刑事告発の対象となるおそれがあります:

  • 背任:管理費を不当に支出し第三者に利益供与(刑法第247条)
  • 文書偽造:虚偽の議事録、見積もり、契約書等の作成(刑法第159条等)

※悪質性・共謀性が認定されるかが重要な要件です。


【5】理事長個人に対する追及のリスク

  • 次期理事会や区分所有者からの文書照会・住民訴訟・監査要求
  • 行政(国交省・自治体)への通報による第三者調査の対象
  • 場合によっては、理事長個人に対する損害賠償訴訟や名誉棄損訴訟の被告にもなり得ます。

対応策(過去理事長・現任理事向け)

項目推奨対応
文書保全任期中の議事録・発注資料を全て保管・引継ぎ
会計説明支出の根拠を明文化し、住民に説明可能な体制
不審案件の記録問題点は任期中に書面化し、引継ぎ書に明記
法的助言弁護士などの専門家による監査・相談の実施

各種修繕改修工事と管理費等の値上げに関する法的対応資料一式

私の見解

この案件は、全国の分譲マンションにおける「管理会社と施工会社の癒着構造」や「中間搾取構造」に対する警鐘と受け取るべき深刻な内容です。施工金額の上乗せが形式的・一方的に行われ、実質的な元請け・下請け構造がブラックボックス化している点は、多くの管理組合にとっても他人事ではありません。

全国のマンション管理組合の皆様への注意喚起

プレスリリース