
問題の本質:大京アステージが、委任状原本の確認責任を理事長に転嫁しつつ、提出後の加筆修正に関する調査を拒否し、総会の正当性を揺るがす重大な不正行為への対応を回避した点にあります。
概要:通常総会における委任状の不正行為
ライオンズマンション稲沢における「委任状不正問題」についての報告です。具体的には、2024年7月27日に開催された第32期通常総会において、事前に提出された委任状に対して提出後の加筆・修正が行われた疑いがあるにも関わらず、管理会社・大京アステージがそれを主導し、把握しながら一切調査せず、責任を理事長に転嫁する姿勢を取った点を問題視しています。
問題の本質は、総会の根幹を支える委任状の正当性に関する調査を管理会社が放棄し、加筆修正の有無すら確認せずに済ませようとした点です。これにより、総会の合意形成の正当性自体が疑問視され、住民自治の信頼を大きく損なう結果となっています。
問題の背景
- 2024年7月に開催された「第32期通常総会」において、委任状の不正な収集・行使があったとされる疑惑が浮上。
- 大京アステージの社員(フロント担当)が委任状の提出期限締め切り後に、当時の理事長へ委任状を渡し総会当日までに委任状記載事項の変更を依頼し、その結果変更されケースが複数報告された。
主な問題点
- 管理会社による介入的な委任状集約
- 区分所有者本人が記載した委任状を、委任状提出期限後に回収した管理会社が理事長を使い、その記載内容を変更させた。
- 「理事長への委任」へと変更され、実際は議案を左右する票となっていた可能性大。
- 説明不足と誤認の助長
- 区分所有者の中には、「委任状は通常は白紙」と言われて委任状を変更したとの証言もあり、委任状提出期限後にこのような行為が行われることは民主主義の根底を揺るがしかねない。
- 議決の公正性に対する疑義
- こうした行為により、理事や役員の選任議案など、重要議題の結果が実質的にコントロールされていた可能性がある。
法的・制度的論点
- 区分所有法 第44条・第45条(総会と議決権)に基づき、委任状の行使には所有者本人の意思が必要。
- 不適切な勧誘・誤認による委任状収集は、議決の有効性自体を揺るがす恐れあり。
- 民法上の「錯誤」や「詐欺的誘導」に基づく無効主張の余地も。
管理会社(大京アステージ)の対応姿勢
- 問題指摘後も、誠実な調査・回答はなく、組合側からの説明要請や再発防止要求にも明確な対応が取られていない。
管理組合側の対応と提言
- 区分所有者へ説明責任を果たすべき。
- 委任状の取得・保管・使用に関するルールの厳格化。
- 必要であれば、議決結果の無効確認訴訟や監督官庁への申立ても検討と示唆。
この問題は、「管理会社による票操作」とも取られかねない重大なコンプライアンス問題であり、全国の管理組合にとっても極めて示唆に富む内容です。
管理会社である大京アステージの責任回避的な姿勢と、住民自治の軽視が如実に感じられます。特に、「調査を行う立場ではない」との回答は、単なる形式論にすぎず、管理組合のパートナーとしての自覚に欠ける企業体質が浮き彫りになっています。
また、委任状という総会手続きの基盤となる書類の改ざん疑惑を主導、看過するという行為は、透明性・公正性・説明責任の全てにおいて深刻な瑕疵を生じさせるものです。住民の信頼を裏切る重大な問題であり、社会的にも看過できない構造問題だと感じます。
委任状改ざん疑惑に関する時系列チャート(ライオンズマンション稲沢)
管理会社が「委任状の改ざん」について実質的に無視・調査回避していることが最大の問題。
提出後の書面に手が加えられた可能性が高いにも関わらず、確認もせず「理事長が確認した」と結論付ける姿勢は、住民自治の根幹である総会決議の正当性を揺るがすものです。
日付 | 出来事 | 備考・関連内容 |
---|---|---|
2024年7月9日 | 第32期通常総会招集通知発送 | 出席票・欠席委任状・議決権行使の配布が開始される。提出締切が設定されていた。 |
2024年7月17日(水) | 欠席委任状・議決権行使書の提出締切期限日 | 大京アステージが回収。この時点で議決権数など集計。 |
2024年7月18日(木) | 大京アステージが当時の理事長へ出席票・欠席委任状・議決権行使書を引き渡しを行なった | 2025年5月15日大京アステージ回答書より |
2024年7月20日(土)〜7月21日(日) | 当時の理事長から当時の副理事長・書記担当理事が欠席委任状・議決権行使書合計8名分を受け取り、訪問。 | 代理人長谷川氏の記載を議長への変更依頼を一人当たり20〜30分説得。変更者は0名だった。(第33期10月定例理事会での証言及び第33期2月度理事会打合せ議事録より) |
2024年7月21(日)20:00頃 | 当時の理事長へ当時の副理事長・書記担当理事が欠席委任状・議決権行使書合計8名分を返却 | 第33期2月度理事会打合せ議事録より |
2024年7月27日(土)第32期通常総会開催 | 当時の理事長より大京アステージへ出席票・欠席委任状・議決権行使書を引き渡しを行なった | 大京アステージが総会成立要件となる議決権数を最終集計。 「7/17の回収時に集計した委任状数・議決権数」と「総会当日の朝、当時の理事長より受け取った委任状数・議決権数」に齟齬が生じていたことを把握していた。 |
2025年4月18日 | 大京アステージの回答:第3回面談(2025年4月18日 14:00〜16:45 喫茶屋らんぷ下津店) | 後藤支店長:7/17委任状提出締切、7/20〜21内海氏篠原氏訪問、7/21夜鈴木理事長へ返却、7/27 32期通常総会。総会当日に理事長より委任状を譲り受けた。谷口、鈴木による委任状、議決権行使書への不正記載はない。齟齬に関しては、管理会社として調査する立場にない。 |
2025年5月15日 | 大京アステージの最終回答 | 弊社社員の不正はない。委任状を取りまとめた上で、当時の理事長に提出しており社員による委任状の書き換え等改ざんを行った事実は確認できかった。 |
第33期10月定例理事会での証言及び第33期2月度理事会打合せ議事録



大京アステージの回答
第3回面談:2025年4月18日 14:00〜16:45 喫茶屋らんぷ下津店
面談者:後藤名古屋西支店長(新任) 辰己名古屋東支店長 肥川副支店長 藤高リーダーによる大京アステージの回答
No.4 委任状への不正行為、No.5 議決権行使書を使った不正集計に関し、弊社担当社員の谷口、鈴木への具体的な調査内容とその調査結果を報告して欲しい。
後藤支店長:7/17委任状提出締切、7/20〜21内海氏篠原氏訪問、7/21夜鈴木理事長へ返却、7/27 32期通常総会。総会当日に理事長より委任状を譲り受けた。谷口、鈴木による委任状、議決権行使書への不正記載はない。
第32期理事長及び副理事長の関与がありますので、管理会社のお立場による両名への具体的な調査内容とその調査結果を報告して欲しい。
後藤支店長:管理会社として調査する立場にない。
委任状変更者7名に対し、いつ誰が訪問し、どのような話や説得を行い変更を行ったかなど管理会社の立場による調査内容と調査結果の詳細を報告して欲しい。
後藤支店長:管理会社として調査する立場にない。
委任状への不正行為に関与した弊社社員名一人一人と弊社の本件に関する弁明を説明して欲しい。
2024年7月17日締切日の16時頃に堀氏ともう一人の社員が委任状を取りに来た(鈴木理事長
へ委任状を渡した可能性もあり)。組合員が委任状を管理員ポストに投函したあとの締切日7/17
以降の委任状の動向を具体的に明らかにしてほしい。
後藤支店長:委任状締切日7/17、7/27総会審議の結果承認。締切日7/17以降に議決権行使書の内容
が変更されたり、委任状が変更されたことは法的には問題ない(会社顧問名古屋熊田弁護士確認済み)。
委任状提出締切後に委任者の意向ではなく、委任状提出締切後に議長が委任状を総会当日まで預かっている期間に、管理会社と議長の意向により訪問し、「通常は白紙委任で議長への委任となるため、受任者長谷川進を斜線を引いて消してほしい」などと説得し、受任者を自身である議長に変更させる行為は法的に問題はないのか確認して欲しい。
後藤支店長:回答なし。
最終回答(2025年5月15日):社員の書き換え等改ざんはなし。
2025年5月15日大京アステージ回答書より抜粋

再通知書送付:2025年5月17日 21:36
抜粋:No.4に関しまして、貴社の2025年5月15日付けご回答書によれば、2024年7月18日に当時の理事長宛てに、ポスト投函による委任状の返却がなされたとのことです。これはすなわち、貴社は「返却前に集計された委任状数」と「返却後=総会当時の委任状数」に齟齬が生じていたことを把握していた」ということに他なりません。にもかかわらず、当該齟齬に関して何ら説明・報告もなく、総会の成立や議決結果が進められた点について、貴社としてどのようにお考えなのか、明確な見解を求めます。また、齟齬のある状態で「総会成立」とされたのであれば、成立要件や議決権行使の前提が揺らぐこととなります。返却された委任状の具体的な取扱いや、最終的な集計結果への反映状況についても、詳細な説明を速やかに開示いただく必要があります。
大京アステージに申入書を提出:2025年5月19日
大京アステージの再回答(2025年5月23日):委任状原本の最終確認は当時の理事長が確認。委任状の締切提出時と総会当時までの加筆修正については調査を行う立場でない。

再回答への見解:
1. 説明責任・契約上の受託者責任の放棄
管理会社である大京アステージは、管理組合との委託契約に基づき、組合運営を補助し、会議体(理事会・総会)の公正性を支える役割を担っています。
「調査を行う立場にない」として不正の疑念に関わる根本的な問題を当時の理事長個人の責任に転嫁する姿勢は、
善管注意義務違反(民法第644条)にもつながる可能性があり、管理委託業務の根本的な誠実性を欠いています。
2. 公正な総会運営への責任回避
加筆修正された可能性のある「委任状原本」は、総会の意思決定に直結する重要書類です。
それが事後的に「理事長が最終確認した」として、事実関係の検証もせず一切の調査責任を放棄する姿勢は、
マンション管理業者としての社会的責任を回避し、管理組合に著しい不信を与えるものです。
3. 管理会社による組合ガバナンスへの不当な距離の取り方
「調査を行う立場にない」という言い回しは、形式的な責任逃れとも捉えられかねません。
実際には、管理会社が総会資料の回収・集計・管理を担っていた事実がある場合、
委任状管理の実務責任の一端を担っていたと見るのが自然であり、「立場にない」との主張には合理性を欠きます。
結論としての見解
この回答は、
- 管理会社としての受託業務への誠実さを欠き、
- 不正の可能性のある事象に対する調査協力義務を放棄し、
- 結果的に「自己保身的かつ不誠実な対応」と評価せざるを得ません。
こうした対応は、**分譲マンション管理における構造的な不透明性(いわゆる「管理のブラックボックス」)**を象徴するものであり、
今後、管理組合側は以下を検討すべきです:
国交省・マンション管理センター・報道機関への通報・情報提供
書面による再通知と反論文提出
弁護士・第三者調査委員会による独立検証要請
大京アステージに発生し得る法的責任(一般論)
【1】民事責任
善管注意義務違反(民法第644条)
- 管理会社は、委任契約・管理委託契約に基づき「善良なる管理者の注意義務」を負っています。
- 委任状の収集・管理・行使について、組合の公正な運営を妨げるような行為(例:白紙委任の誘導・虚偽説明など)は義務違反に該当。
信義則違反(民法第1条第2項)
- 区分所有者に対し、誠実かつ正確な説明責任を果たさず、不正な誘導・操作があれば「信義誠実の原則」に違反。
総会議決の無効・取消請求(区分所有法第59条・第60条)
- 不正な委任状に基づいて可決された議案については、組合員または監事から議決無効確認訴訟や取消訴訟の提起が可能。
不法行為責任(民法第709条)
- 故意または過失によって他人(区分所有者・管理組合)に損害を与えた場合、損害賠償請求の対象。
【2】刑事責任(行為の悪質性次第)
私文書偽造・同行使罪(刑法第159条・161条)
- 白紙委任状に本人の意図と異なる記載を行った場合、その書類を使用する行為は文書偽造罪または同行使罪に該当し得る。
背任罪(刑法第247条)
- 組合からの信任を受けて業務を行う立場で、自己または第三者の利益のために議決権を操作し、組合に損害を与えた場合、背任が成立する可能性あり。
【3】行政責任
マンション管理適正化法違反
- 国土交通省・都道府県は、管理会社の不適切業務(不誠実対応・選挙操作等)に対して、
- 指導
- 業務改善命令
- 業務停止命令
- 登録取消処分
などの行政措置を行うことが可能。
想定される処分や結果
分類 | 責任の内容 | 根拠条文・制度 |
---|---|---|
民事責任 | 損害賠償請求、契約解除、議決の無効訴訟 | 民法709・644、区分所有法59・60 |
刑事責任 | 文書偽造・背任罪の立件 | 刑法159、161、247条 |
行政責任 | 行政指導・業務停止処分・登録取消 | マンション管理適正化法第72条等 |
補足
- 本件の重大性は、「票操作による組合意思の歪曲」という民主的運営の根幹を揺るがす行為にあります。
- 被害組合は、法的通知 → 監督官庁への報告 → 訴訟の検討という段階的な対応が可能です。
大京アステージの通常総会委任状への不正行為に関する法的対応資料一式
第32期理事長の代理人弁護士によるご回答の抜粋

第32期理事長に発生し得る法的責任(一般論)
【1】民事責任
善管注意義務違反(民法第644条に準ずる)
- 理事長は、管理組合の代表者として、誠実かつ注意深く業務を執行する義務(善良な管理者の注意義務)を負います。
- 重大な過失・不作為(例:違法な支出、議事録不作成、情報非開示等)があれば、損害賠償責任が発生する可能性があります。
区分所有法に基づく義務違反(第35条・第59条等)
- 理事会の招集や議案の報告義務を怠った場合、または正当な理由なく総会決議を無視・違反した場合、職責放棄とみなされる。
不法行為責任(民法第709条)
- 組合員や第三者に対し、故意または過失により損害を与えた場合、理事長個人に賠償義務が発生。
委任関係の逸脱
- 組合の委任範囲を超えた契約締結・処分行為(例:理事会承認なく契約)を行った場合、無権代理や不当利得の責任。
【2】刑事責任(故意性・悪質性が高い場合)
背任罪(刑法第247条)
- 組合財産や権限を利用し、自己または特定業者の利益を図り、組合に損害を与えた場合、背任罪が成立。
私文書偽造罪(刑法第159条)・同行使罪(第161条)
- 虚偽の議事録を作成・使用した場合、理事長個人に刑事責任が問われる可能性あり。
横領罪(刑法第252条)
- 組合の資金や物品を私的に流用・取得した場合。
【3】行政的責任(外部通報に基づく)
- 管理適正化法違反があれば、管理会社が処分対象となるが、理事長による組合運営の重大な義務違反があれば、都道府県や国交省から是正勧告や業務調査の対象になることもある。
想定される責任が問われる具体的ケース(例)
ケース | 発生し得る責任 |
---|---|
理事会や総会を開催せず独断で意思決定 | 民事:職務怠慢による賠償責任、総会決議無効 |
議事録を作成・保存していない | 民事責任、組合の記録喪失に伴う訴訟リスク |
不正な委任状収集を主導 | 刑事:文書偽造、民事:議決の無効、損害賠償 |
組合費を業者や自分に不正流用 | 刑事:横領罪、背任罪、民事:返還請求 |
管理会社や特定業者と癒着 | 刑事:背任、民事:損害賠償、契約無効の主張対象 |