
問題の本質:管理会社が管理組合の決定権を形式的に利用し、不透明な大規模修繕工事契約を主導した構造的問題である点です。
1. 問題の発端
- 大京アステージが主導した大規模修繕工事において、事前に行う工事に関するアンケート及び工事に関する住民説明会を開催し、住民意見の尊重を見せかけているが、実際は住民説明会終了後に開催する総会前理事会において、その住民意思である「相見積もりの取得」などを隠ぺいし、自社グループ会社である大京穴吹建設との工事契約を上程させる管理組合・理事会へのサポート運営を見せかけ、大規模修繕工事を自社グループ会社大京穴吹建設と締結させるスキームが判明。
- 大規模修繕工事契約締結事業年度においての理事会開催数が4回/年であり管理会社側の意図的な誘導や説明不足が疑われる。
- 大規模修繕工事契約締結事業年度の直前事業年度以降、大京アステージによる不自然な理事会議事録の不作成・未保管などが多数発生している。
2. 不正の疑義
- 自社グループ会社(大京穴吹建設)への事実上の随意契約。
- 管理会社が設計・監理・施工を一括受託し、競争性を欠いた発注体制。
- 中間マージン構造により、組合資金の不透明な支出が発生。
3. 管理会社の対応
- 説明責任の回避、社内調査の形式的対応。
- 質問への書面回答を拒否、口頭説明に切り替え。
- 社長面談の再三の申入れも拒絶。
4. 住民側の対応
- 再通知書・申入書を複数回送付。
- 面談記録・やりとり文書を証拠として保存。
- マスコミ・監督官庁への通報を含む外部対応の準備。
問題の構図

証拠資料一覧
- 第2回大規模修繕工事の契約書および見積書
- 大規模修繕工事契約締結事業年度における理事会議事録(4回/年)
- 理事会議事録の持ち出し・未作成・未保管を証明する大京アステージによる事態報告書
- 管理委託契約書(P15 第1項第3号)
- 大京アステージへの通知書・申入書の控
管理会社の回答要旨(要点のみ)
- 工事発注の経緯は理事会・総会で決議されたものである。
- 工事内容および契約構造については「問題ないと認識」。
- 管理会社社長との面談要請には一貫して応じない方針。
補足コメント
このページの主張は、管理会社による「情報遮断」と「住民無視の決定誘導」という構造的課題を浮き彫りにしています。管理組合が主体的な判断を行えないような制度設計・実務運用は、全国の分譲マンションにとっても極めて重大な前例となりうるため、問題提起としての公益性は非常に高いと言えます。
問題の主旨:透明性・公平性を著しく欠いたプロセスで管理組合に契約を結ばせた疑義
「ライオンズマンション稲沢」の第2回大規模修繕工事(実施:2018年)について、計画・見積・実施の各段階で複数の重大な問題点がありました。
・理事会での十分な審議・検討を経ずに、短期間で議案を総会上程し、修繕工事契約を可決に導いた。
・理事会の一部理事が詳細を把握しておらず、情報共有と検討プロセスが不十分だった可能性がある。
・管理会社が特定の協力会社(グループ会社)との契約に誘導していたような構造がある。
・管理組合の意思形成が不透明なまま進み、住民の納得が得られていない状態で契約が締結された。
主な指摘内容:
- 見積取得方法の不透明性
- 工事金額約1億円規模にもかかわらず、相見積を取得せず、1社にのみ見積依頼を行った。
- 競争性・公正性の欠如があり、価格妥当性の検証が困難。
- 理事会および総会への説明不足
- 工事内容や見積の根拠について、区分所有者に対して十分な説明が行われていなかった。
- 工事契約の詳細(施工条件・保証内容など)も理事会に十分に共有されていない。
- 施工後の瑕疵・トラブル
- 工事完了後、複数の場所で不具合や仕上げ不良、再修繕の必要性が発覚。
- 施工品質・検査体制に疑義あり。
- 管理会社(大京アステージ)の関与
- 管理会社が修繕工事の選定・業者推薦に強く関与しており、中立性に疑問。
- また、議事録上には詳細な検討過程や責任の所在が記録されていない。
法的・制度的論点:
- 区分所有法・民法に基づく善管注意義務違反の可能性
- 標準管理規約における修繕計画・契約手続の逸脱
- 施工業者との契約における信義則違反・瑕疵担保責任の問題
- 管理会社による職務怠慢または背任的関与の可能性
管理組合の対応・意図:
- 工事に関する資料の開示と再調査
- 瑕疵・不具合箇所の是正要求
- 費用の精査および責任の明確化
- 今後の大規模修繕における再発防止策の提言
この件は、全国のマンションで発生し得る「管理会社主導型の大規模修繕工事の不透明化」という構造的な問題を示しています。
大規模修繕工事という住民資産に直結する重大事案に対し、管理会社の役割や手続きの正当性を問う重要な内容です。
特に、「説明責任の欠如」「協議不足」「拙速な上程」などは、管理組合運営の根幹に関わる深刻な問題であり、管理会社の姿勢に対する強い問題提起となっています。
また、管理組合側もチェック機能を十分に果たせなかった点も含め、分譲マンションの制度的弱点が浮き彫りになったといえます。
第2回大規模修繕工事を前にした重要な事業年度である第27期2018年以降の理事会議事録原本とデータ不在が多発。
No.2 理事会議事録の持ち出し・未作成・未保管に関しての大京アステージによる事態報告書より抜粋

No.2 理事会議事録の持ち出し・未作成・未保管については<こちら>
大京アステージに「第2回大規模修繕工事に関するアンケート結果一覧データ」の提出を要請したが、当初は「データは存在しない」との回答。

「当初アンケートデータはない」との大京アステージの回答だったが、第30期12月定例理事会議事録に「アンケート結果確認」との記載がある点を指摘。その後、2025年1月26日定例理事会時にようやく提出された大規模修繕工事に関するご要望アンケート結果一覧表
2021年12月12日:第30期12月定例理事会議事録より抜粋

当時の理事会や住民アンケートにおいて相見積もり取得要請が多発していた

総会議案が短期間で強行的に上程された
総会前理事会を利用した総会議案への上程、その後総会承認決議を盾にする大京アステージの企業体質
2022年4月17日:第30期決算月理事会に開催された大規模修繕工事検討経緯報告会での住民意見を隠ぺい(理事会議事録に住民意見の記載なし)

2022年6月12日:第30期6月総会前理事会で大京穴吹建設との大規模修繕工事契約の締結を総会へ上程

大京アステージの回答
第1回面談:2025年3月7日 14:00〜16:00 喫茶屋らんぷ下津店:当社としては誤った業務をしておりません。
面談者:辰己支店長・肥川副支店長・藤高リーダーによる大京アステージの回答
肥川副支店長:相見積もりはあくまでも管理組合さんに取得していただくべきものです。当社としては誤った業務をしておりません。
証拠:第1回面談記録
最終回答(2025年5月15日):最終的に総会上程に至った経緯も、弊社の説明をもとに、理事会でご審議いただいた結果。
証拠:2025年5月15日大京アステージ回答書より抜粋


再通知書送付:2025年5月17日 21:36
抜粋:No.3に関しましては、まず管理委託契約書P15 1(3)の条文内容自体が、競争を実質的に排除する構造となっており、独占禁止法上の「不当な取引制限」に該当する可能性があります。また、工事提案に際しては、情報格差を利用し、専門的判断が困難な理事会に対し必要な説明を欠いたまま進行された点で、理事会の意思形成を実質的に歪めております。特に、決算月理事会や総会直前の理事会に自社提案工事を集中させる手法は、総会承認という形式に依存しながらも、実質的には区分所有者の意思反映を阻害する手法であり、御社の業務運営体質に深刻な問題があると認識しております。
管理委託契約書P15 1 (3)は独占禁止法違反(不当な取引制限)に抵触
管理委託契約書P15 1 (3):大京アステージは、管理組合が本マンションの維持または修繕(大規模修繕を除く修繕または保守点検等。)を外注により大京アステージ以外の業者に行わせる場合の見積書の受理、発注補助、実務の確認を行う。

再回答(2025年5月23日):ご指摘の事実はない。取引制限するものではない。


再回答への見解:
1. 【実質責任の転嫁と形式的説明の問題】
本回答は、一見「理事会の決議を経た正式な判断」であるかのように装っていますが、
実際には「弊社(大京アステージ)の説明をもとに理事会が判断した」という構成からもわかるように、大京アステージが方針を主導したことを自認する内容です。
にもかかわらず、最終判断が理事会でなされたことを理由に、実質責任を組合側に押し付ける構図は、
委託契約上の受託責任から逃れようとする姿勢と受け取られてもやむを得ません。
2. 【重要議案の形成プロセスとしての不備】
仮に、大京アステージの説明をもとに理事会で審議されたとしても、当該議案(第2回大規模修繕工事の契約など)に関する下記のような事実が確認されている場合:
- 工事内容・施工内容の実態が一部の理事に正確に伝わっていなかった
- 修繕積立金の支出規模が著しく大きいにも関わらず、施工検討資料が不十分
- 総会での説明内容が簡略化・省略されていた
これらは「審議を経た」という手続きの形式をもって正当化できるものではなく、プロセスにおける説明責任不履行=信義誠実義務違反にあたります。
3. 【管理会社の提案主導型業務の危うさ】
大京アステージのような大手管理会社では、修繕計画や工事提案を事実上一手に担うことが多く、理事会はその「説明を聞く立場」にとどまってしまう例が多々見受けられます。
そのような構造の中で、「私たちは説明した。判断は理事会が行った」という主張は、一見妥当でありながら、実質的に不十分な判断材料を提供して誘導した可能性を否定できません。
これは場合によっては、不完全な情報提供による同意の取り付け=錯誤・不実告知的要素を含む不法行為に該当することもあります。
結論:形式主義に隠れた実質責任の回避
大京アステージのこの説明は、表面的には理事会の審議と総会の承認という手続きを踏んでおり、
形式上は問題がないように見せかけています。
しかし、その実態は:
- 提案内容の真偽や妥当性についての詳細説明を尽くさず
- 理事会・組合員が十分に理解できないまま同意を取り付けた
- その結果、管理会社の責任を事実上回避している
という問題構造に他なりません。
これは、マンション管理の「ブラックボックス化」そのものであり、分譲マンションにおける民主的な意思決定プロセスを著しく損なうものです。
大京アステージに発生し得る法的責任(一般論)
【1】民事責任(契約上・不法行為上の責任)
◼ 善管注意義務違反(民法第644条)
- 管理会社には「善良なる管理者の注意義務」が課されます。
- 工事業者の選定、説明義務、価格の妥当性の確認、契約の透明性確保などの業務において、これが怠られていれば責任が問われます。
例:相見積もりを取らず1社と契約/住民への説明不足/不具合放置 など
◼ 信義則違反(民法第1条第2項)
- 管理組合に対して誠実に業務を遂行すべき立場にありながら、不公正な手続き・情報非開示があれば信義則違反とされます。
◼ 不当利得・損害賠償請求(民法第703条等)
- 特定業者との癒着や、相場を超える価格で工事発注を促す行為があれば、組合に対する経済的損害の返還義務が発生する可能性があります。
【2】刑事責任(状況によって成立の可能性あり)
◼ 背任罪(刑法第247条)
- 管理会社の担当者や組織が、自らに委ねられた「管理運営」の信任関係を利用し、業者側と癒着して管理組合に損害を与えた場合、背任に問われる可能性があります。
例:高額な業者を紹介し、見返りを得ていた場合 など
◼ 私文書偽造罪・同行使罪(刑法第159条、161条)
- 工事契約に伴い、虚偽の議事録、見積書、契約書などが作成・使用されていた場合は該当します。
【3】行政責任(業法・条例違反)
◼ マンション管理適正化法(国土交通省管轄)
- 管理業務主任者による説明義務違反、不正な業務運営があった場合、業務改善命令・指導・業務停止命令の対象となる可能性があります。
◼ 消費者契約法・建設業法との関連
- 工事契約において住民に不利な条件や誤認を与えていた場合、無効や取消の主張も可能となることがあります。
【4】組合との契約関係の破棄理由(法的根拠)
- 上記のいずれかの責任が認められる場合、**管理委託契約の解除(債務不履行・信頼関係破壊)**も正当化されます。
- 解除による違約金請求を回避する正当事由として法的主張可能。
まとめ:責任の方向性
分類 | 主な根拠 | 大京アステージに問われうる内容 |
---|---|---|
民事 | 民法644・703条など | 善管注意義務違反、損害賠償請求、不当利得返還など |
刑事 | 刑法247条など | 背任罪、文書偽造・同行使罪など(状況により) |
行政 | 適正化法、国交省指導 | 業務停止命令・改善命令の対象(悪質な場合) |
契約上 | 委託契約・標準管理規約 | 委託解除の正当事由成立(住民への説明義務違反) |