No.2 理事会議事録の持ち出し・未作成・未保管

問題の本質:管理会社である大京アステージが理事会議事録を作成せず、保管・返却義務も怠ったことで、管理組合の意思決定記録を組織的に隠蔽した疑いがある点にあります。

概要:

問題の内容:他の管理組合でも起こり得る議事録の取り扱いにおける管理会社のガバナンス欠如の典型例

  • 理事会議事録が適切に作成・保管されていなかった
  • 管理会社が理事会の運営補助を行う立場でありながら、議事録管理という基本的責任を果たさなかった
  • 議事録は管理組合の法的証憑であるにも関わらず、その存在と管理が恣意的かつ不透明に運用されていた可能性がある
  • 当該議事録の存在や内容が曖昧な状態のまま、後続の総会等の意思決定が進んでいた可能性がある
  • 管理会社(大京アステージ)の担当者が、理事会議事録の正本を複数回にわたり持ち出したが、その一部については返却されず行方不明となっている。
  • 管理組合からの再三の照会に対して、明確な説明や謝罪もなく、保管責任を放棄したまま、謝罪も不十分なままの状態が続いている。
  • 会計監査の際や法的確認のために必要不可欠な公文書に準ずる書類であるにも関わらず、杜撰な管理がなされていた。

管理会社側の対応:

  • 当初は「回収のため持ち帰った」と説明。
  • その後「確認中」など曖昧な説明を繰り返し、最終的には一部の議事録が紛失した可能性を示唆
  • 責任所在が曖昧なまま、正副理事長や他の役員に事後的な報告すら行われなかった

法的・制度的な問題点:

  • 区分所有法・標準管理規約では、理事会議事録は管理組合の記録義務の対象であり、管理会社が勝手に持ち出すことは通常想定されていない。
  • 善管注意義務違反(民法第644条)、証拠保全義務違反、信義則違反に該当するおそれ。
  • 管理組合としては、正式な保管台帳や貸出記録もない状態で、将来的に法的紛争となった際に「証拠隠滅」とみなされるリスクも存在。

管理組合の見解:この件は、管理組合にとって組織的記録の信頼性や透明性の根幹を揺るがす重要な事案です。

  • 本件は「単なる書類紛失」ではなく、管理組合の自治と情報の健全性を脅かす深刻な信頼破壊行為である。
  • 第三者による調査・是正を含め、管理体制全体の見直しが不可欠であると主張。
  • 非常に重要な内部統治の問題を指摘しており、他の管理組合にとっても無視できない警鐘となる事例です。
  • 管理会社が議事録作成を怠ることは、法的責任や住民の権利侵害にも直結する重大な過失です。
  • また、記録が管理会社の判断で持ち出され、未返却のままである点は、証拠隠滅や説明責任の放棄にあたる可能性があると感じられます。

事態報告書の提出を要請

2025年1月26日第33期1月定例理事会時に提出された大京アステージからの事態報告書

事態報告書受領後に大京アステージへ依頼した5項目

2025年1月26日理事会時にご提出いただきました「事態報告書及び遅延理由書」に関しまして下記の通り、お願い申し上げます。なお、2025年2月14日(金)までにご回答頂きたくよろしくお願いします。

1 本文記載事項の1・2・3・4・5に関しまして、それぞれ個別に内容をご記載いただき、「全て履行完了しました」という報告書を名古屋西支店長名で結構ですので、ご提出ください。

2 添付資料①の原本保管の欠損分をデータ保管で補う場合は、署名捺印有りPDFデータでお願いします。

3 未作成の理事会議事録に関しましては、前担当者堀健次郎氏分は素案、原本の所在が不明な議事録は保管データを出力し提出とのことですが、その際の作成日は当時ではなく、今回作成し直した年月日、また署名捺印は当時の役員でなく「代理作成人」とし名古屋西支店長及び担当者の署名捺印をお願いします。

但し、回復が不十分な議事録に関しては事由説明文を記載し、名古屋西支店長の署名捺印をお願いします。

4 今後の再発防止策ですが、上席がどのようにして履行状況を管理されるのですか?また、上席による管理牽制はどのように担当者に効くのか?この2点お答えください。

5 前担当者の堀健次郎氏がご担当された第二回大規模修繕工事を前にした重要な事業年度である第27期の2018年以降の議事録原本とデータ不存在が多発しております。これは不自然であると言わざるを得ません。

従いまして、まずは大京アステージ自身による社内調査を依頼します。

なお、御社社内調査に関しましても2025年2月14日(金)までに調査結果を御社代表者様の署名捺印の上、ご提出下さいますようお願い申し上げます。

大京アステージの回答

第1回面談:2025年3月7日 14:00〜16:00 喫茶屋らんぷ下津店

面談者:辰己支店長・肥川副支店長・藤高リーダー

辰己支店長:No.2 理事会議事録持ち出し・未保管の件は、管猛省しております。弁明の余地もございません。
藤高リーダー:事態報告書提出後のご依頼5項目へのご回答は差し控えさせていただきます。

証拠:2025年3月11日 11:04 大京アステージより私の見解への追記連絡及び第1回面談記録

私の見解への追記連絡
第1回面談記録

最終回答(2025年5月15日):管理委託契約書で定めたれたあ弊社業務の履行が不十分であった。

証拠:2025年5月15日大京アステージ回答書より抜粋

再通知書送付:2025年5月17日 21:36

抜粋:No.2の交渉履歴に記載のある本件への要望を「ご回答は差し控えさせていただきます」とする貴社ご回答は実質的に説明責任を放棄している態度であり、現場の裁量権がなく、上層部の指示に従うだけの縦割り構造の不誠実な企業体質そのものである。

再回答(2025年5月23日):担当者による未作成及び管理職による確認不足

再回答への見解:

1. 【個人責任への転嫁による組織責任の回避】

大京アステージは、本件における議事録の不備(未作成や隠蔽など)を、「担当者レベルのミス」として処理しようとしています。

これは、組織全体としての業務体制や監督体制に問題がある可能性を認識しつつ、責任の所在を末端に限定しようとする姿勢であり、マンション管理業務を請け負う企業としては極めて不誠実かつ形式的な対応です。


2. 【業務履行義務(善管注意義務)違反の可能性】

管理会社は、理事会や総会の議事録作成を「支援・補助」するだけでなく、その保存や正確性、適時作成を通じて、管理組合運営の透明性を担保する業務責任があります(管理委託契約に基づく)。

議事録を作成せず、またその不在を管理職が見逃していたことは、明確に「善管注意義務違反」および「債務不履行」に該当する可能性があります。


3. 【情報隠蔽または証拠隠滅の懸念】

議事録の未作成が「意図的」であったか「過失」であったかを問わず、一定の期間において議事内容を記録に残さなかったことは、

  • 住民の知る権利の侵害
  • 組合内部の監視機能の低下
  • 総会・監査・会計処理への影響

を招き、事実上「管理のブラックボックス化」を助長するものです。

とりわけ、後日内容の修正・補足がなされていた場合などは、組織的な改ざん・隠蔽の疑いも否定できません。


法的責任に関する補足

法的根拠内容
民法第644条善管注意義務違反:業務遂行上の注意義務違反
民法第415条債務不履行:議事録作成補助義務不履行
区分所有法第42条議事録の保存義務:本来は理事会側にあるが、補助義務者としての責任
管理業法・ガイドライン管理会社は説明・記録補助の「誠実義務」を負う

結論と対処の方向性

このような対応は、「形式的な謝罪で実態の検証を避ける」典型であり、再発防止策や責任者の明示がない限り、管理会社の信頼回復にはつながりません

管理組合側としては:

  • 書面による再通知(文責の明示と対応責任の所在の追及)
  • 議事録作成プロセスの文書管理体制の見直し
  • 不法行為・債務不履行に基づく損害請求の可能性の検討
  • マンション管理センターや国土交通省等への通報

といった対応を行います。

大京アステージに発生し得る法的責任(一般論)

1. 民事上の法的責任

善管注意義務違反(民法第644条)

管理会社は委託契約に基づき、「善良なる管理者の注意義務(善管注意義務)」を負っています。

  • 議事録は管理組合の重要な法的文書であり、これを無断で持ち出し、紛失したことは明確な義務違反。
  • 裁判においても「資料紛失=契約違反」として損害賠償が認められた判例があります。

想定される責任:
→ 損害賠償請求(調査費・再発行コスト・精神的損害等)


2. 刑事上の責任(状況次第)

証拠隠滅罪(刑法第104条)

他人の刑事事件に関する証拠を隠滅・破壊した場合に成立します。

  • 議事録が将来的な法的紛争の証拠となる可能性がある場合(例:不正の隠蔽など)、この罪に問われる可能性あり。

業務上横領・背任罪(刑法第247条)

財産管理等の信任関係にある立場を利用し、自己または第三者の利益のために財産を処分した場合に成立。

  • 議事録が意図的に破棄されたり、不適切な使途に流用された場合、背任の可能性が浮上。

3. 行政上の責任

マンション管理適正化法違反(業務停止・指導対象)

  • 管理会社には、記録管理・説明責任・誠実対応が求められており、これに違反すると、
  • 国土交通省または都道府県による業務改善命令・業務停止命令の対象になります。
  • 特に「管理業務主任者」の監督不備も問題視されます。

4. 信頼関係の破壊と契約解除

  • 管理委託契約において、「記録管理」は最も基本的な業務の一つです。
  • 紛失や隠蔽行為が認められた場合、管理委託契約の解除理由となる正当事由が成立し得ます。

結論

このような議事録の管理不備は、**民事(損害賠償)・刑事(証拠隠滅・背任)・行政(業法違反)**の三方面から責任が問われる可能性があります。

特に、再三の照会に応じなかった場合や、悪意(意図的な隠蔽)が認定されると、法的責任の度合いは格段に高まります。

理事会議事録持ち出し・未返却・未保管問題に関する法的対応資料一式

全国のマンション管理組合の皆様への注意喚起

プレスリリース